THE OMM 2015 (2)

2日目のフィニッシュ。やっと帰ってきた。残念ながらタイムアウト。
2日目のフィニッシュ。やっと帰ってきた。残念ながらタイムアウト。
左から朝食・予備、夕食、共通行動食そのほか
左から朝食・予備、夕食、共通行動食そのほか

web 

https://www.theomm.com/omm-2015-tweedsmuir-scottish-borders/

 

装備編はこちら

http://www.rika7.com/2015/11/06/theomm2015/

 

食事・行動食

夕食:アルファ米 x 2、肉団子x1、香るカレー(フリーズドライ:チキン1、グリーンカレー1)、みそ汁 x 2(フリーズドライ:野菜たっぷり)、棒ラーメン、ツナマヨ、スティックコーヒー x 2、アルファ米 x 1(予備)、パン3つ(予備)


朝食:スープチャーハン x 2(アルファ米)、パン、ツナマヨ、プロセスチーズ、みそ汁 x 2(フリーズドライ)、チーズハンバーグ x   1

 

行動食:

共同:梅しそごはん x 2(アルファ米) 、うずらの玉子 x1袋、ツナマヨ&パン3個?柿ピー、練乳 x 1

個人:さけるチーズ x 3、ベビーチーズ x 9、ショートブレッド x 10個?、水2.5l(2l + 500ml) x 2日

 

これでわたしは約5㎏程度、1日目終わるときは水もほぼなくなり4㎏を切っていたと思う。村越さんは7㎏程度か

テント内で美味しい夕食
テント内で美味しい夕食

 去年は行動食が多ぎたようで重かった。アルファ米も思ったより食べられなかったが、今年は村越さんが米粒をつぶして五平餅のように棒状にして食べやすいものにし、共同食にすることにした。ショートブレットはバサバサしているが、カロリー高く塩気があるのでよい。2010年N.Zの24時間ロゲイニング世界選手権のときもずいぶん役に立った。去年はご飯を中心にして使わなかったが結局あまり食べられなかったので、ショートブレッドに戻した。


スピードレースではないので固形物で軽いもの、パン、米といったあまり加工していないシンプルなものを。パンにはツナマヨ、チーズを挟んでランチパックにした。


くたびれてくると噛むのも面倒くさくなる。柿ピーを除き柔らかいもの中心にした。


夕食、朝食は主に日本で調達し持って行った。パンなどは現地調達。
服部先生の香るカレーは絶品。少々値は張るがフリーズドライでこれだけおいしいのなら投資する価値ある。カレーは食欲がなくてもおなかに入っていけるのでよい。野菜たっぷりのフリーズドライのみそ汁もおいしい。肉団子とハンバーグは要冷蔵製品だがまあ寒いし大丈夫だろうということで気にせず利用。失敗したのはコーヒーで疲れているのなら糖分を多めにとるべきだった。脱水していてかつ気温が低いのなら、もっと水分を取り暖かいものを口に入れる工夫したほうがよい。粉末のほうじ茶、チャイなどを活用してもよかったように思う。棒ラーメンは夏の縦走の残りで初チャレンジ。次は普通のインストラーメンにしよう、、、で落ち着いた。


行動食は若干少なめだったかもしれない。もう少し増やすとすればショートブレッドとチーズの数ぐらいか。キャンプ地の水は絶対煮沸するようにと言われていたが参加者はそのままみな入れていた。私たちもガスの残量が心配になり結局そのまま利用した。パックを見るとうっすらと黄色い。恐れおののいたが(胃腸弱いので)、ふつうに飲めたのでよしとする。ただし気温低く冷たかったのでおなかを壊さないよう心配していた。

 

今回のヒットはツナマヨだった(ツナ入りマヨネーズ)。白馬の縦走のときに初めて試して今回も採用。ツナだけでなく刻んだオニオンも入っておりこれが効いている。パンにつけるのはもちろん、ごはんの上に、パスタにも合うし、そのままなめてもよい。これは柳下&山田もフィニッシュ後絶賛。ぜひお試しあれ。
練乳は何回かなめさせてもらった。味が濃いかと思うかもしれないが、疲労が重なると美味しくてよい。

1日目の最後から2つ目のコントロールを取ってほっとする。フィニッシュはもうすぐそこ。
1日目の最後から2つ目のコントロールを取ってほっとする。フィニッシュはもうすぐそこ。

 

レース考察と次へ向けて

1日目 27㎞ 9h30m

2日目 24.7㎞ 8.5hrs 8コントロールでタイムアウト

 

去年より足場はまだよくて、地面が固いところもあり、走りやすく進みやすい。とはいってもヒース(アザミ)、湿地、シダといった足場の悪い濡れている不整地を進まねばならない。トレイルを進むことはほぼない。朝まで降り続いた雨のせいで小川は流れ速く深く、それを渡るのも難儀であった。日本ではけして真似することはできないだろう。

 

時おり晴れ間も見えOMMらしかぬとは思うものの、太陽の光はやはり気分を上向きにさせる。ただその時間は長くなくあっという間に日は陰り、強風、雨といったサイクルが続く。

 

ガスが晴れ見通しがよく、そもそも地形のおおざっぱなこともあり、我々にとってナビゲーションは難しくはない。よって当たり前のようにロスもミスもない。さらに周囲に同クラスのチームが多いのでおのずと進む方向が同じになる。が最後のアタックは慎重にした。地形の特徴物のコントロールはベアリングの直進をせず整置のみで進んでいたが、ストーンサークル(石積の円い囲いで羊を集める)、など点の特徴物で置かれた何か所のコントロールはベアリングして直進をした。

地図は、縮尺1:40,000、等高線間隔15m。これぐらい小さな縮尺は久しぶりだったので、慣れるまでに少し時間がかかった。

 

ぐちゃぐちゃしたマーシュ(湿地)、ヒースの中を走る。奥にコントロール
ぐちゃぐちゃしたマーシュ(湿地)、ヒースの中を走る。奥にコントロール

ルートチョイスについては改善の余地があるかもしれない。

後半は特に他のチームの後に続いたので、その足跡をたどれば足場がいくらかよい。彼らは直進ルートというよりは距離が延びても一気に尾根にあがり平らなところを進む、またはトラバースしていく、私たちができる限り最短直進ルートをとるのとは少し違うルート取りをしているように思う。特に2日目は体力が消耗し、足場の悪いところを進むペースが落ちるので、ついそういうルートを選びたくなくなる。この辺は先をいく村越さんにずいぶんお願いしたが、そうはいっても基本道はないので避けようがなく難しい。彼らの体力のアドバンテージを、逆に我々のルートチョイスと緻密なナビゲーションでカバーして追いついたレッグもあり何とも言えない。


やはり基本的な体力向上、不整地でもぐらつかない体幹づくりがさらに必要だと思われる。同程度の荷物を背負って速く移動する(走る)練習、それもただのトレイルではなく、せめてごつごつした足場の悪いトレイルを長時間進む練習が必要だろう。


Bクラスのレッグ設定は長いレッグだと直線距離で8-9㎞程度あり、2時間弱かかった。1レッグ4,5㎞では1時間。途中道を使ったルートチョイスがあること、1日目も2日目も最初はショートレッグで慣らしてからどーんとロングレッグに飛ばす感じ。去年のAクラスはそもそも道を選択するルートチョイスはなく、初めからいきなりロングレッグがあった。また大きな地形や特徴物がわかる近くにコントロールが置いてあり、あまり微地形にはおいていない。ここらがただ距離が10㎞短くなるだけではなく、ナビゲーションレベルも落としてあるのだろうか。レベル分けの1つになるのかもしれない。が、エリートと同じレッグもいくつかあり、あまり難易度が変わらないようにも思う。

 

タイム比を見てみると、1日目トップ6時間に対して9時間台。男子チームがトップなので、その中で150%というのは現状を考えると妥当な数字と言える。これを145%まで上げれば完走はクリアになるだろう。2日目も同様。135-140%は不可能ではなく現実的で上位へ食い込む可能性のほうが大きくなる。これはオリエンテーリング世界選手権でも同じような割合だったのでイメージしやすい。しかしそう簡単ではない。

 

Bクラスでも男女混合チームは少なくベテランミックス(合わせて90歳以上)も3チームのみ。競っていた周りの女性を見ていると、わたしより少しタフな印象だ。つまりそれなりに強い女性や、中堅どころの男性がBクラスに出場しているようだ。THE OMMではE(エリート)、A、Bの3クラスは別格のように思う。

 

去年は全く周りに人がいなかったが、今年は多くのチームが周りにいて、混合チームとも競ることができやっとレースらしくなってきた。このエリアに2,500人も参加者がいるはずなのに、周りに誰もいない自分たちだけの時間がかなりある。チームメイトにはもちろん励まされるが、いつの間にかまた周りに人が現れてくると、なんだかほっとする。こういった精神的な部分もこの2日間のレースは大きく影響するように思う。


村越さんは数年前より長時間動くのに慣れさらに強くなっている。私のペースだと負荷は高くないので、荷物を多く持ってもらい、急登では私のザックまでも背負ってくれた。それでも1日目の最後はつまづくことが多くなっていたので注意を促すと、低血糖になっていたようだった。体力の差はあってもチームメイトの様子を常に見ながら進むこと、もちろん離れないこと、チームのパフォーマンスを上げる、維持するための工夫は大切だと思う。維持を張っていたり遠慮していてはいいことはない。厳しい大自然の中で2日間頼りもなるのはチームメイトのみである。喧嘩しようと仲良くいようと、ひとときも離れず2日間常に一緒に過ごすのだ。チームのコミュニケーションもレースを進めるうえで大事な要素の1つだろう。

 

我々からすれば簡単なナビゲーションも、オリエンテーリングでは世界レベルの競技者としてやってきたがゆえの感触であるので、誰にも同じようにあてはまるものではない。もし出場しようというのであれば、国内ではきちんと森でのオリエンテーリングやロゲイニング、縮尺の小さいおおざっぱな地形図での経験を積まないと厳しいだろう。野営術、OMMでもアウトドアでも求められる山の知識と経験とスキル、リスクマネジメント能力はもちろんのことである。

そもそも悪天候の中を喜んで走り回っている彼らとはアウトドアアクティビティの文化も歴史も違う。

 

出場するのでば最初はスコアがよいのではないだろうか。実際 THE OMMではもっとも参加チームが多い。ストレートに出場したいのであれば一番下のDクラスからがよいように思う。力をつけ世界に目を向けチャレンジするのは、ワクワクするに違いない。そんな人たちが増えてくると嬉しい。

 

今年でもう十分だとレース直後は思ったが整理して考え始めると、やはりきちんと完走しておきたい。十分な準備をしたい。その過程を楽しみたい。

 

来年チャンスはあるだろうか。もう一度選手で出場できるのならそうしたい。